眼内コンタクトレンズ(ICL)とは
眼内コンタクトレンズ(ICL)とは、レンズを目の中(虹彩と水晶体の間)に挿入し、視力矯正をする治療法です。
LASIK(レーシック)は角膜を削るため、近視が強すぎる場合や角膜厚が薄い場合には適用ができませんでした。眼内コンタクトレンズ(ICL)では、以上の理由からLASIK(レーシック)が適応とならなかった方でも、多くの場合視力矯正が可能です。また角膜を削らないため、鮮明な見え方を可能とし、万一の場合はレンズを摘出して元に戻せるという特徴を持ちます。
ICLは20年以上の実績を持つ視力矯正手術で、高い安全性で長期的にクリアな見え方を実現することができます。
当院で使用するレンズについて
当院で使用するレンズは現在(2022年時点)国内で唯一厚生労働省から認可を受けているスターサージカル社製のものを採用しております。レンズ(スターサージカル社製)はコラマーという目に優しいレンズ素材でできており、目の中に入れても馴染みやすく、自然な見え方が可能です。また柔軟性があるため、目の中で割れたりするような心配はありません。
眼内コンタクトレンズ(ICL)のメリット・デメリット
メリット
- 角膜を削らないため見え方の質が高い
- 目に優しいレンズ素材
- 強度近視や角膜の薄い方、軽度円錐角膜(慎重実施)の方も受けることができる
- 長期的に視力が安定する
- お手入れやメンテナンス不要
- 万一の場合元の状態に戻せる
デメリット
- 手術費用が高額
- レンズをオーダーメイドするため、国内に在庫がない場合などは手術までの待機時間が長くなる
眼内コンタクトレンズ(ICL)の適応と禁忌について
眼内コンタクトレンズ(ICL)は、適応範囲が広いのが特徴ですが、すべての方が手術を行えるわけではありません。適応検査をもとに手術ができるか医師が判断をします。
眼の状態によって適応できない場合もあります。
適応
- 年齢20歳以上40歳未満(※18歳以上20歳未満の方は親の同意書が必要)
- 等価球面度数-18.00Dまで(-15.00D以上は慎重適応)
- 乱視度数-6.0D以下
- 前房深度≧2.8mm(角膜内から水晶体前面まで)
- 矯正視力1.0D
禁忌
- 眼の病気(角膜・瞳孔・虹彩・ぶどう膜・網膜の疾患・白内障など)がある場合
- 緑内障の既往または眼圧が21mmHg以上ある場合
- 角膜内皮が2,000個/m㎡
- 妊娠中、授乳中
- その他医師が適応外と判断した場合
手術までの流れ
- ① ご予約
お電話で適応検査のご予約をお取りください。
適応検査前の注意事項についてご説明させて頂きます。【コンタクトレンズ中止期間】
- ソフトコンタクトレンズは1週間前
- 乱視用ソフトコンタクトレンズは2週間前
- ハードコンタクトレンズは3週間前
から装用の中止をお願いします。
- ② 適応検査・コンサルテーション
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- 手術に適正があるかどうか判断するための検査をお受けいただきます。
- 眼底検査を行う際に散瞳をしますので、瞳孔が開いた状態が4~5時間ほど続きます。
しばらくものがぼやけて手元も見づらくなりますので、ご来院の際に車やバイクの運転はお控えください。
- ③ 再検査
- 再検査を行い、1回目の検査結果と度数差がないかの確認をします。
この検査の結果に基づき、レンズの度数決定を行います。 - ④ レンズオーダー
- お一人おひとりに合ったレンズのオーダーを行います。
レンズの在庫が海外にしかない場合や特殊なレンズの場合は、手術まで4ヶ月ほどお時間を要する場合が御座います。 - ⑤ 手術
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手術は基本的に両眼同日で行います。
ご希望や眼の状態によって、日程をあけて手術を行うこともあります。【手術の流れ】
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①瞳孔を拡大させ、点眼麻酔を行います。
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②角膜を約3mm切開し、切開部分からレンズを挿入します。
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③レンズを虹彩と水晶体の間に固定し、瞳孔を収縮させて終了となります。
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- ⑥ 定期検診
- 術後翌日、1週間後、2週間後、1ヶ月後、3ヶ月後、半年後を目安に術後検査を受けて頂いております。医師の判断により、回数が変わる場合もあります。
費用
適応検査代(受診1回目) | 5,500円(税込) |
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精密検査代(受診2回目,3回目) | 5,500円(税込) |
乱視なしホールICL | 650,000円(税込) |
乱視ありホールICL | 720,000円(税込) |
保証内容
- 術後検診半年間無料(手術翌日、1週間後、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後)
※医師の判断で変わる場合が御座います。 - レンズの位置修正3年間無料
- レンズの交換半年間無料
※医師が治療的な観点から必要であると判断した場合
術後起こりうる合併症について
ハロー・グレア
ICLのレンズの真ん中には、安全性の観点から極小の穴が設けられていますが、稀に光が反射して暗いところで強い光の刺激を受けたとき、光が滲んだり、眩しく感じたりすることがあります。
白内障
レンズが水晶体の前面(前嚢)に接触して、前嚢混濁が起こる場合があります。
視力に影響が出るほどの混濁が生じた場合には、レンズを摘出したり、入れ替えることがあります。現在のホールICLのレンズモデルになってからは、レンズと水晶体の間を水が循環することによって十分な距離が確保できるため、ほとんど起こらなくなりました。
眼圧の上昇
以前のICLのレンズモデルでは、レンズを挿入することによって房水の循環が悪くなり、術後3%前後で緑内障が起きることがありました。現在レンズ中央部に穴があき、房水の循環が確保され、白内障同様起こるリスクは著しく低下しています。
術後眼内炎
ICLは眼科手術の中で内眼手術(眼球内の手術)に分類されます。0.02%と起こることは非常に稀ですが、術創から稀に細菌感染を引き起こすことがあります。眼科手術でもっとも怖い合併症の1つで、適切な処置が必要となります。清潔な環境下で手術を行うことはもちろん、術前術後の注意事項を守って頂くことによってリスクを低減することができます。
レンズの位置ズレ
多くの方が翌日からよく見えるようになりますが、目の中でレンズが安定するまでは少し時間がかかります。稀に強い衝撃が加わったりすると、レンズの位置がズレることがあります。乱視用(トーリック)の場合や見え方に支障が出る場合には、レンズの位置修正やサイズが合っていない場合には、レンズの入れ替えを行うことがあります。